心と体の負担にならない シニアの浴室・洗面所片付け:安全と快適を両立
はじめに:浴室・洗面所を安全で快適な空間に
私たちの暮らしに欠かせない浴室や洗面所は、毎日使う場所であると同時に、モノが増えやすく、滑りやすいなど安全面での注意も必要な場所です。特にシニア世代の方々にとっては、かがむ・立ち上がる動作や、探し物をする際に転倒してしまうリスクも考えられます。
「モノが多くてごちゃついている」「どこから手をつけて良いか分からない」と感じていらっしゃるかもしれません。しかし、心と体の負担にならない方法で少しずつ片付けることで、浴室・洗面所は安全性が高まり、日々の準備や入浴時間がより快適で心地よいものに変わります。
この記事では、シニア世代の方が無理なく、安全に、そして心穏やかに浴室・洗面所を片付けるための具体的なステップとヒントをご紹介します。
なぜ浴室・洗面所の片付けがシニアに重要なのか
浴室や洗面所を片付けることは、単に見た目をすっきりさせるだけでなく、シニア世代にとっていくつかの重要なメリットがあります。
- 安全性の向上: 床にモノが散乱していると、滑ったりつまずいたりして転倒する危険が高まります。特に水回りではそのリスクが増します。必要なモノがすぐに見つかる配置にすることで、慌てて探し回る必要もなくなり、安全につながります。
- 衛生的な環境: 湿気がこもりやすい場所だからこそ、モノが多いと風通しが悪くなり、カビや雑菌が繁殖しやすくなります。整理整頓することで掃除がしやすくなり、清潔な状態を保ちやすくなります。
- 心身の負担軽減: 必要なモノがすぐに見つかるようになると、毎日の支度がスムーズになり、探し物をするストレスが軽減されます。また、すっきり片付いた空間は視覚的な情報が減り、心が落ち着きリラックス効果も期待できます。
- 家事効率の向上: 掃除や洗濯、身支度といった日々の家事が格段に楽になります。
片付けを始める前の準備:無理なく進めるために
いざ片付けようと思っても、どこから始めれば良いか迷ってしまうかもしれません。始める前に少し準備をすることで、スムーズに、そして負担なく作業を進めることができます。
- 目標を決める(小さく!): 一度に全部を片付けようとせず、「洗面台の下の引き出し一つ」「棚の上の段だけ」など、ご自身にとって無理のない小さな範囲から始めましょう。完璧を目指さないことが大切です。
- 時間を区切る: 「今日は15分だけ」のように、作業時間をあらかじめ決めておきます。時間になったら途中でも終了して構いません。休憩を挟みながら、ご自身のペースで進めましょう。
- 必要な道具を用意する:
- モノを一時的に入れるための箱やカゴ(「使うモノ」「使わないモノ」「保留」などと書いた紙を貼ると便利です)
- ゴミ袋(燃えるゴミ、プラスチックなど、分別に合わせて複数用意)
- 拭き掃除用の布やウェットシート
- ゴム手袋(水回り作業のため)
- 必要であれば、踏み台(ただし、不安定な場所での使用は避け、十分注意してください)
- 安全確保: 床が濡れていないか確認し、滑り止めマットなどがあるかチェックします。換気を十分に行いましょう。
片付けのステップ:心と体に負担をかけずに
さあ、準備ができたら、決めた小さな範囲から片付けを始めましょう。
ステップ1:全部出す(無理のない範囲で)
決めた場所にあるモノを、全て外に出します。床に直接置くのが難しければ、大きな布を敷いたり、空き箱を利用したりして、まとめて置きます。この時、腰や膝に負担がかからないよう、無理な姿勢は避け、座ってできる作業は座って行いましょう。
ステップ2:分類する
出したモノを、「使うモノ」「使わないモノ」「保留」の3つに分類していきます。
- 「使うモノ」: 今現在、日常的に使っているモノ。
- 「使わないモノ」:
- 長期間(目安として1年以上)使っていないモノ
- 壊れている、劣化したモノ
- もう必要ないと感じるモノ
- サンプルや試供品で使う予定のないモノ
- 期限が切れているモノ(医薬品、化粧品など)
- 「保留」: 「使うかもしれない」「すぐに決められない」など、判断に迷うモノ。
判断に迷ったら? 「また使うかも」という気持ちが浮かぶこともあるでしょう。その際は、無理に手放そうとせず「保留」の箱に入れます。この「保留」の箱は、しばらく様子を見て、それでも使わなかったら改めて見直す、というように後で判断するために使います。すぐに決めなくても大丈夫です。
ステップ3:使わないモノ・保留のモノと向き合う
「使わないモノ」に分類されたモノを、さらに「捨てる」「手放す(捨てる以外)」に分けます。
- 捨てる: 壊れている、汚れている、使用期限が切れているなど、再利用が難しいモノは、自治体のルールに従って適切に処分します。
- 手放す(捨てる以外): まだ使えるけれど自分は使わないモノは、捨てる以外の方法を検討します。
- 家族や知人に譲る: 欲しい人がいないか聞いてみる。
- 寄付する: 必要としている団体に寄付する。
- リサイクル: 特定の素材(プラスチック容器など)はリサイクルに出す。
- フリマアプリや買取サービス: 状態の良いモノは検討してみる。 これらの方法を組み合わせることで、「捨てる」ことへの抵抗感を減らすことができます。
「保留」のモノは、決めた期間(例えば1ヶ月など)だけ「保留」の箱に入れておき、期間が過ぎたらもう一度見直してみましょう。案外、なくても困らなかったことに気づくかもしれません。
ステップ4:使うモノを元に戻す・収納する
「使うモノ」だけになったら、元あった場所や収納スペースに戻します。この時、より使いやすく、安全な配置を心がけます。
- 頻繁に使うモノ: 手が届きやすい、かがまずに取れる場所に置きます。洗面台のすぐ脇や、棚の真ん中の段など。
- ストック品: 少し離れた場所や、使用頻度の低い場所に置きます。ただし、ストックの置きすぎは場所を取り、管理も大変になるため、必要最低限の量に留めましょう。
- 重いモノ: 高い場所や奥の方に置かず、取り出しやすい下の段に置くなど、安全を考慮します。
- 収納の工夫:
- 引き出しの中は、仕切りを使ってモノがごちゃつかないように立てて収納すると、何があるか一目で分かりやすくなります。
- 棚にはカゴやボックスを活用し、種類別にまとめると出し入れが楽になります。
- 浴室では、吊るす収納やマグネット式の収納を活用すると、床にモノを置かずに済み、掃除もしやすくなります。
モノ別の片付けポイント
浴室・洗面所にある代表的なモノの片付けポイントです。
- タオル: 古くなったタオルや、もう使わないタオルは、掃除用にしたり、ウエスとして活用したりできます。枚数が多すぎる場合は、使用頻度を考えて減らしましょう。
- 洗剤・シャンプー類: 使いかけのモノや、残り少ないモノがないか確認し、同じ種類はまとめて使い切るようにします。肌に合わなくなったものや、香りが苦手なものは手放しを検討します。
- 化粧品・試供品: 使用期限を確認しましょう。特に肌につけるものは衛生面が重要です。使わない試供品は思い切って手放します。
- 掃除道具: 使う場所に収納するのが基本ですが、量が多くなりがちです。本当に必要なモノだけを残し、コンパクトにまとめましょう。
- 古い電化製品: 使っていないドライヤーやシェーバーなどは、適切にリサイクルに出します。
片付けを終えて:維持するための小さな習慣
片付けが終わった達成感は、次のステップへの活力になります。この状態を維持するために、無理のない範囲で小さな習慣を取り入れてみましょう。
- 「使ったら戻す」習慣: モノを使ったらすぐに元の場所に戻すように意識します。
- 「買ったら考える」習慣: 新しいモノを買う前に、「本当に必要か」「置く場所はあるか」を少し立ち止まって考えてみます。
- 「ちょい掃除」習慣: 歯磨きのついでに洗面台を拭く、入浴後に浴室の壁を軽く拭くなど、数分でできる掃除を習慣にすると、汚れが溜まりにくくなります。
- 定期的な見直し: 半年に一度、あるいは季節の変わり目など、時期を決めて簡単な見直しを行います。
おわりに
浴室・洗面所の片付けは、安全で快適な暮らしのためにとても有効です。一度に完璧にしようと思わず、この記事でご紹介したように、小さな場所から、時間を区切って、ご自身のペースで進めてみてください。
モノが整理され、空間がすっきりすると、探し物の時間が減り、掃除が楽になり、何よりも心が軽くなります。安全になった場所で、どうぞゆったりと身支度や入浴の時間を楽しんでください。
「これならできそう」と感じていただけたら嬉しいです。無理なく、少しずつ、片付けを進めていきましょう。応援しています。